夢で見た女たち
女と女をめぐる恋愛とセックスの覚え書き
DATE: 2010/02/04(木)   CATEGORY: 恋と不埒
焦らしてる
頭の片隅で
理性のタガが外れる音がする。
膣が熱くなって
激しく脈打っているみたいだ。

リナが膝にかけたコートの下に
そっと手をすべらせた。
フレアのミニスカートをたぐると
簡単に太ももに触れた。

「……ダメ」

リナが微かな声で言った。
私の腕に手をかけて
その動きを制しようとする。
私は構わずに柔らかい太ももを撫でる。
タイツのざらざらした感触がもどかしい。

しばらくそうしていると
ため息のように、
リナの小さな吐息が漏れた。
うつむいて、声が漏れ出そうになるのを
身を硬くして堪えている。
上気した横顔が愛らしい。

かたく閉じていたリナの脚が
わずかに開いた。
それでリナが
私の愛撫を受け入れているのだと
分かったけれど
私はその先には進まなかった。

ゆっくりと太ももをなぞって
涼しい顔で映画を見る。
リナはぴったりと私に体を預けて
私の愛撫を求めている。
私の指がタイツを破って
ショーツの中の
濡れた茂みに入っていくのを。

私はもたれかかるリナの後頭部を
ぼんやりと視界に入れながら
スクリーンを見ていた。
クルマの中でのセックスの後、
長旅で金の尽きた男と
女のあいだで、諍いが起こっている。

まるで私がリナを焦らしているみたいだと思う。
でも焦らしてるのは
私じゃなくてリナの方じゃないかとも思う。
きっと今日の逢瀬にも、
ホテルという選択肢なんてなくて
だとしたら、これ以上欲望のアクセルを踏んでも
どこにも進みようがないじゃないか。

太ももの内側を愛撫していると
リナの脚が焦れて動く。
何かを懇願するように
リナの手が私の腕を掴んでいる。
私の手はタイツの上を
同じリズムで滑っている。


欲望のアクセルとブレーキを、
どこで使い分けるか迷ってる。



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DATE: 2010/02/01(月)   CATEGORY: 恋と不埒
シャンプー
リナの手が私の手に触れている。
たったそれだけのことが
私を熱くする。

手を握り返すと
彼女もそれに応じて
ギュッと握り返してくる。
体の芯がざわめいている。
スクリーンに映る男女の恋が
急にそらぞらしいものに思えて
自分のなかの欲望が
いきいきと動き出す。
リナの手はしっとりとあたたかくて
私は自分の体のなかの衝動を
解き放ってしまいたくなる。

キスしたい、とか
抱き合いたい、とか。
リナを裸にして
その肌を舐めつくしたい、とか。

そんなことを考え始めると、
いてもたってもいられなくなる。
私は映画に集中しようと
スクリーンをじっと見つめた。
上映の2時間が
とてつもなく長いように感じて
小さくため息をつくと
リナが怪訝な表情で
私の顔をのぞき込んだ。

ーーどうしたの?
と、リナの口元が動いている。

ーーなんでもないよ。
私は握られた手を唇に近づけて
リナの手の甲にキスをする。
リナの潤んだ目が
熱っぽく私を見つめる。

ふいにリナは私から視線をはずした。
そしてスクリーンに顔を向けると、
黙って私の肩にもたれかかり
私に体を預けた。

鼻先にふっとシャンプーの甘い香りが漂ったとき
私の体に一筋の電流が走って
意識が遠のいてしまいそうだった。


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DATE: 2010/01/28(木)   CATEGORY: 恋と不埒
逢瀬
リナも私も互いに忙しく
なかなか会う時間を合わせられなかったのだが
メールや電話での会話は
前よりも濃密で
熱を帯びていた。

メールをやりとりして
好きな映画の話をしているうちに
映画を見に行こうということになった。
ちょうど見たい映画がある、とリナが言い、
私たちは池袋にある古い小さな映画館で落ち合った。
その映画は新宿でも上映されていて、
新宿三丁目にある映画館の方が新しくて大きい。
にもかかわらず、私たちがどちらからともなく
新宿を選択肢から外したのは、
新宿三丁目では誰に会うのかわかったものじゃない、
という警戒心と、
この逢瀬への後ろめたい気持ちが
あるからなんだろう。

週末だというのに
客席は空いていた。
映画館の前で待ち合わせて、
すぐに上映時間になったので、
ろくに話す時間もないまま
私たちは後方の席に座った。
冗長な予告編に飽きてきたころ
ようやく映画が始まった。

それはアメリカのロードムービーで
定職につかずフラフラしている主人公の男が
道沿いのダイナーで若い女に声をかける。
退屈な日常に飽いていた女は、男とともに
クルマを走らせてあてのない旅をする。
アスファルトの続く道、無意味に広い空、
さびれたモーテルでの乾いたセックスが
やがて男と女を疲弊させていく。
そんな話だ。

映画を見ながら
目の端にリナの横顔をぼんやりととらえる。
もう少しはっきりとその表情を見たいと
映画から目を離してリナを見た。
リナの長い睫毛が
まばたきで上下に動くのを
綺麗だと思った。

私の視線に気づいたリナは
私に顔を向けて「なに?」とでもいうように
小首を傾げる。
少しためらって、左手を差し出すと
リナは照れたように小さく微笑して手を握り、
膝にかけたコートの上に、その手をのせた。


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DATE: 2010/01/22(金)   CATEGORY: 挨拶
【お知らせ】Pe=Po Vol.1創刊
押して、押して、押し倒されろ! のイチカワユウさんと、電脳乙女ブログ ver.3の西ちづるさんが、新しいインディペンデントマガジン『Pe=Po』を創刊しました。

読み応えのある雑誌です。興味のある方はぜひどうぞ。恥ずかしながら、私の小説も掲載されてます(場違いなんじゃないかと恐れおののいてるんですが)。通販のほか、中野のタコシェ、新宿の模索舎でも取り扱っているそうです。


Pe=Po vol.01 特集「カムアウト」
A4サイズ/52P/500円

特集「カムアウト」

* 大!アンケート結果発表
* YOU MUST COME OUT-ミルクのメッセージ
* ”You must come out”って、ちょっと待ってよハーヴェイ!
* インタビュー「シンディ×マイ」(表紙の2人だよ!)
* BLレビュー「ディア・グリーン 瞳の追うのは」
* カミングアウトの思い出あれこれ
* 隠フェミニストとカムアウト
* カムアウトをしない「自由」はない。
あるのはカムアウトをしない「不自由」と、カムアウトをする「不自由」だけだ。
* 「カムアウトできる」「カムアウトできない」というレトリックの問題
* BLとカミングアウトー小さな農村でカムアウトしたら?

* 百合の裾野は意外と広い
* 小説「九月の雨」
* アロマセラピーサロン4Qのご紹介
* 4コマ漫画2本



詳細はこちらまで→ http://www.pepomagazine.com/



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DATE: 2010/01/18(月)   CATEGORY: 恋と不埒
話す言葉は残されていない
朝、フロントからの電話で目が覚めて、
あわただしく服を着て
ラブホテルを出た。

表に出ると、
強い太陽の光が目を射した。
突然、日常の空間に放り出されて
さっきまでのことが幻だったように思えてたじろいだ。
思わず横に並んで歩くモモカに目をやる。
モモカは、目を眩しそうに細めて
まだ眠り足りない顔で歩いている。

道玄坂に出て、私は訊いた。

「何か食べてく?」

モモカは首を横に振る。

「ううん。やめとく」

「そっか」

「家に帰って寝るよ」

「うん」

そして言葉が途切れた。
ふたりで黙ったまま、並んで歩く。
通りは嘘のように明るくて
買い物の人々やサラリーマンが
昼間の顔で行き交っている。
ちらっとモモカを見ると、
視線に気づいたモモカもこちらを見て微笑した。
私たちの間に流れる空気は穏やかで
いつもと変わらないような気もしたのだけど。

ーー私たちには
もう話す言葉が残されていない。

なんとなく、そんな気がした。
そのことにモモカも気づいているのかは
わからない。
お互いに眠くてなんとなく無言でいる、
そう思っているだけなのかもしれない。

渋谷駅前のスクランブル交差点で立ち止まる。
信号を待つモモカに私は言った。

「私、買い物していくから、ここで」

「あ、そう?」

車の流れを眺めていたモモカが、私に振り返る。
私は笑って片手を上げた。

「うん。じゃあね」

ちょうどその時、信号が青になった。
モモカも小さく手を振った。

「じゃあね」

信号を渡る人々の波に押されるように、
モモカは横断歩道を渡っていく。
モモカの小さな肩は
あっという間に人混みに紛れて、
気づくと見えなくなっていた。

青信号が点滅して、
交差点を渡る人々が走り出す。
信号が赤に変わると、
列をなす車がゆるゆると動き始める。
雑踏に消えたモモカの幻を追うように
私はずっと立ち尽くしていた。




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